裏腹な彼との恋愛設計図
カランと、柊さんが置いたグラスの中で、氷が崩れる音がやけに大きく響いた気がした。


まさか、私のあの言葉をそんな意味に取られていたなんて……。

私達の間に生じた些細なズレは、修復するのも困難な状態になっているみたい。


でも、このままでいいわけない。

たしかにもう三好くんはいないけれど、あの頃の私の気持ちは本物で、今もしっかり残っている。

なのに、それを誤解されたままでいるのは、すごく切ないよ。


「……もう話すことはないな。帰るか」

「待って!」


立ち上がろうとした柊さんの手を掴んで引き留める。

そして、手を握ったまま「ごめんなさい」と頭を下げた。

彼は神妙な顔で私を見る。


「なに謝ってんだ」

「あの時、きっと私は三好くんのことを傷付けたと思うから……」


彼がもし私を信頼してくれていたとしたら。

あの頃の柊さんは人を疑い深くなっていたというのだから、余計に裏切られたように感じたかもしれない。


「あなたは何も勘違いなんてしてません。私は、三好くんのことが本当に好きだったから」

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