裏腹な彼との恋愛設計図
遅すぎる告白に、柊さんは目を伏せて前髪に手を潜らせ、気怠げに吐き捨てる。


「……だから、十年も前のことは今さらどうでもいい」

「どうでもよくない!」


思わず声を張り上げた。

彼もゆっくり目線を上げ、視線が絡まる。


「三好くんの存在は、私にとってすごく大きかったし、今でも大切なことなんです。なかったことにはしたくない」


そう言い切って、下唇を噛みしめた。

張り詰めた空気の中、夜景が震えるように揺らめいている。

それを見るともなく眺めて少しだけ気を落ち着かせると、再び静かに口を開いた。


「昔のこと、忘れたいなんて嘘ですよね」

「え?」

「本当に忘れたかったら、今日同窓会まで来て私に全部話したりしなかったはずでしょう? 本当は、柊さんも過去と向き合いたかったんじゃないですか?」


意表をつかれたように、柊さんは押し黙った。

さっきからずっと握ったままの手に、私はぎゅっと少し力を込める。


「私は、あなたの全部を受け止めたい。昔の三好くんも──今の柊さんも好きだから」

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