幼馴染みはイジワル課長
「よくわかったな」

「やっぱり!」


あんな車に乗ってるんだ…ますますかっこいいなぁ…




「部長に家まで迎えに行くって言われたけど、さすがに上司にそんな事してもらうわけにはいかないからな」

「どこまで行くの?」

「代官山。奥さんの同級生がレストランやってるとかで…そこで待ち合わせ」

「おしゃれだね」


代官山でランチなんてした事ないわ…どんなレストランがあるのかすら想像できない。





「堅苦しいレストランとか苦手なんだよな。食べた気がしなくて」


碧はおしゃれなレストランとか似合うから普段から行ってそうだけど、見た目と違ってあんまり好きじゃないんだな。覚えておこう。




「お前も乗れ。送っていくよ」

「えっ…いいよ!すぐそこだし」

「いいから乗れ…」

「はい…」


碧が車のキーを開けると私は渋々車の助手席のドアを開けた。

車内はいい香りがして革製のつやつやしたシートはすごくきれいで新車のようだった。私はやや遠慮がちに助手席に乗り込むと、緊張しながらシートベルトをしめた。






「暑いか?」

「大丈夫」


運転席に座る碧が車のエンジンをかけながら言う。会社の車よりも運転席の碧との 距離が近いような気がしてドキドキしてしまう。


碧は手馴れた手つきでハンドルを回し車をバックさせてこんなにの駐車場から出ると、私の家に向かって車を走らせた。たった数分間だったけれど碧と2人きりのその空間は私にとって特別だった。






「送ってくれてありがとう」


家の前に車が止まり外へ降りて運転席に回ると、碧は窓を下げてくれて私は一言お礼を言った。





「どういたしまして。今日の予定は?」

「んー…どうかな。多分ずっと家にいると思う…歩未ちゃんの様子見て夜送っていくよ」

「そうか。食事が終わったら連絡するよ」

「へ!?」


碧の言葉に驚いて変な声を出してしまう。





「…部長と奥さんの様子を知らせる。あとでLINEするよ」

「あーうん、わかった!」


そういう連絡か。一瞬ドキッとしちゃった…





「じゃあな」

「うん!気をつけてね」


碧は優しく微笑んで笑うと車をゆっくりと走らせて行った。私は碧の車が見えなくなるまでその場から離れずに見送り、見えなくなると家の中に入った。







ガチャ


玄関を開けて中に入ると、しーんと静まり返っている。
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