幼馴染みはイジワル課長
思わず笑ってしまうと、碧は私の頭を軽くコツンと叩く。





碧好き…

大好き…












「それにしても…碧の家って超かっこいいね!こんなところに住んでるなんて羨ましいなぁ」


涙も落ち着いてきたところで私と碧はソファーにくっついて座り、今まで遠回りしていた時間を埋めるようにお互いのことを話していた。







「そうか?このマンションはお袋の店のお得意さんが大家だってことで紹介してもらって、家賃も安く貸してもらってんだよ」

「そうなの?」


碧のお母さんの桜さんは呉服屋のオーナー。だから当然着物のことはエキスパートで、よく着物を着ているイメージがある。

自分の成人式の時も、桜さんの仕立てた着物を着た私…あの頃は少しでも碧と繋がっているような気がして嬉しかったな…


そんな囁かなことですごく嬉しかったのに、今は碧が私の彼氏なんて…そう考えると信じられないな…











「家族だろうが仕事だろうが、こっちがプラスになるもんは何だって利用してやるよ。こずるいとか腹黒だって言われても、そんなの知ったこっちゃねえ」


碧はそう言うと、空になったビールをテーブルに置きキッチンに行って冷蔵庫を開けた。





なんか自分をすごく嫌な奴みたいなことを言ってるけど…

碧は結局いつも優しいじゃん。


仕事柄そうしなきゃいけないことはあっても、本当の悪人にはならないよね…







「お前は?」

「飲むー」


冷蔵庫から缶ビールを2本出すと、碧はリビングのソファーに戻ってくる。






「ありがと」


残り少ないビールを飲み干し明日から新しい缶ビールを受け取ると、私はプシュッと開けた。




今日はお酒が特に美味しいなぁ…

普段は家であんまり飲まないからなんか酔が回るのが早いけど、今日はいつもよりもそれが心地よく感じるな…


幸せだ…







「…これ飲んだら送ってくから支度しろよ」

「え?」


送ってくって…???





「も、もう!?」

「当たり前だろ。もう10時過ぎてるんだから…おばさん達心配するぞ」

「…」


私からすればまだ10時…という感覚なんですが…?






「…どうした?」


固まっている私を見て、碧は不思議そうな顔をする。






「あーいや…あの……」

「ん?何だよ…言えよ」

「え、っと…今日は帰りたくないなぁって…」

「…」


つい本音を言ってしまった…

こういう時は恥ずかしい気持ちを押し殺して、ちゃんと自分の気持ちを言った方がいいよね…








「…お前な……」

「え、何?なんか変なこと言ったかな?今日は碧と両想いになれた日だから…帰りたくないなって思って…」


好きな人と両想いになれた特別な日なんだから、ずっと一緒にいたいよね。







「両想いって…中学生かお前は。普通に付き合ったでいいじゃねえか」

「あ、そっか」


こういう経験全くなかってから慣れてないし、なんて言ったらいいかわかんなかったよ。





「さっさと飲め。んで帰る支度しろよ」

「えーだから嫌だってば!今日は帰りたくないって言ってるじゃん」

「ダメ!帰れ」


グビグビとビールを飲み干す碧は、きっぱりとそう言い放った。私はその言い方に傷ついて今にも泣きそうになる。





「なんでぇ…?普通は好きな人とずっと一緒にいたいと思うんじゃないのぉ…?」


碧は私と一緒にいたいと思ってないのかな…そう思ってるのは私だけ?







「…本当にバカだな。付き合うならちゃんとしたいってさっき言っただろ?お前のこと大事にしたいんだよ」

「…そ、それって………」

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