run and hide


 その時、玄関のチャイムが鳴った。

 ・・・神様、ありがとう。

 ピザが到着したのがわかって、やっと動けた。財布を手にして玄関に戻る。

 この豪雨の中必死に仕事をしてくれた配達係のお兄さんに丁寧にお礼を言った。

 そしてもう一度深呼吸をして、覚悟を決めて、居間に戻った。

 手に持ったピザの温かさに救われた。

 テーブルの用意をしていたらしい翔子が、わーい、と声に出して喜んだ。

 その笑顔を、また見詰めてしまった。

 ・・・・・なんてこった。

 ピザは美味しかったと思うけど、実はあんまり覚えてない。

 テレビのバラエティー番組を見ながらケラケラと笑う翔子の顔は何度も思い出すのに。

 心から寛いだ、とは言えない。

 ビールも進められたけど、正気を保つために断った。翔子は残念そうな顔をしていた。

 それすらも、ぐっときた。俺は翔子を女として見てしまった事実に激しく動揺していた。

 ・・・・・ダメだ。思考回路は恋愛モード一色になりつつある。

 このままでは。

 窓の外は相変わらずの大嵐。

 もう一度頭を冷やすべきだって、神様が言ってるんだと思った。

 俺は振り返って、服の乾燥は終わったかな、と翔子に聞く。


 帰って、落ち着く必要がある。




 番外編終わり。男目線での場面抜き取りでした。
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