音楽が聴こえる
「関係無くない?」

私が睨みつけると、彼は一時、昔のシュウに戻って悪戯っ子っぽく笑った。

「さっきから、先生に尋問されてるみたいなんだよね。なんか落ち着かない」

……あんたも、さぞや手の掛かる生徒だったんだろうさ。


シュウはライヴハウスで会った時と同じ位の強引さであたしの腕を引き、リビングのソファへと誘った。

目の前のテーブルには、コーヒーとザッハトルテが既に用意されている。

あたしはお菓子に懐柔された子供か、と自分に突っ込みを入れつつも、ケーキの前のソファにドカリと腰を下ろす。

シュウはテーブルを挟んだ向かい側にセットしてあったカップとソーサーを持ち上げ、私の隣りに座った。

シュウにはケーキなんてものは無い。

胃が悪いんだから当然か。

「ねぇ。胃が悪い人にコーヒーは平気なの? 」

あたしの疑問に、これはカフェインレス、と答えるシュウ。





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