音楽が聴こえる
「やだっ。酒臭っ」

きちんと話しがしたいのに、なし崩しに甘い時間へと変わってしまいそうな空気が漂いそうで。

それを避けたくて体を起こそうとしたのに、拒絶と受け取ったのか、悟はあたしの肩を床へと押し付けて来た。

ダイニングのシーリングライトとテレビの明かりだけのこの部屋は薄暗くて、悟の顔に深い影が出来ている。

「悟?」

悟は無言のまま、あたしを見下ろす。

ひんやりした床にいつもより強い力で荷重を掛けられたあたしの体が、独りでにぶるりと震えた。

「……お前の方が…シュウ臭いんだよ」

意味を理解する前に、噛み付かれるような勢いで唇を首筋に押し付けられた。

それと同時に、悟の手は荒々しく胸からウエストのラインを幾度も撫で回す。

「……んんっ 。悟っ」

それでは足りないとばかりに、悟はあたしのスカートからブラウスを引っ張り出し始めた。

性急な動きに慌てたあたしは体を捩った。
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