音楽が聴こえる
それでも悟の指先は止まらず、簡単にあたしの体が跳ねるポイントを突いてくる。

「ま、待ってってば! んっ……話し…を」

「……じゃあ、何しに来たんだよ。茉奈」

悟はあたしの耳元で低い声で囁くと、耳朶を食んだ。

ブラウスの中に入った手は、先程までの性急な勢いが嘘みたいに焦らすような緩慢な動きに変わる。

「何しにって……あっ」

ブラジャーの中にまで手が入り込み、指先の感触に体が痺れるような疼きを覚えた。

「……こんな時間にここに来たらやることは1つじゃねーか」

つまり抱かれに来た、と言いたいんだ。
あたしは、それ以外は求めちゃいけないの?

悟の熱い唇が指の動きを辿るように、胸元を這う。

悟の愛撫で体に籠り出した熱と比例するように、頭が考えることを放棄し始めた。

慣れた快感に従う自分の体を厭わしく思いながらも、伝えたい言葉を探す。

「ここがっ……あたしの……帰る場所だと……思ってたん…だけ……ど…」

例え愛を囁く言葉が無くても。

仲間のために後押ししたくせに、そうやって不機嫌なのは、あたしを自分のモノだと思ってくれてるからじゃないの?

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