甘いヒミツは恋の罠
(すごい料理……)


 しかし、目移りしそうな料理が目の前に広がっていても、紅美の頭の隅にはキス未遂の光景が何度もフラッシュバックしていた。そして、朝比奈に奪われた口づけも連鎖して思い出してしまう。


「どうしたの? ごめん、もしかしてさっきの……」


「すみません、ちょっとびっくりしてしまって」


「本当にごめん、夜景を眺める紅美さんが……あまりにも綺麗でつい」


 食事を勧められるがどれも喉を通りそうもない。敷居が高くて自分では行けないような高級イタリアンだというのに。


「今日のフェア、お互いに大成功だったようだね。まずは乾杯しよう」


「そうですね」


 チンとグラスが合わさる音が響き、紅美は気持ちを落ち着かせるためにワインをぐっと煽った。
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