甘いヒミツは恋の罠
「あいつには昔、婚約者がいたんだよ」
「え……?」
「けど、瑠夏がデザインして作った指輪が完成したと同時にその女は指輪を持って消えた。内密にされてることだからあんまりこの話をネタにしないほうがいいよ。でも、アルチェスの社員も薄々気づいてるんじゃないかな? 当時、週刊誌とかでちょっと話題になったし」
そう言うと大野は、驚いて目を丸くしている紅美に口元を歪めて笑った。
(そんな過去があったなんて……)
婚約者から裏切られたことがトラウマとなって指輪のデザインができなくなってしまったのだろうか。女性に対して不誠実なのもそれが原因なのかもしれない。
様々な憶測が頭の中で飛び交い、興味本位で指輪のデザインをしない理由を暴こうとしたことが恥ずかしく思えてきた。
「どうしたの? 瑠夏の過去を知って驚いた?」
「え、えぇ……」
「いつも偉そうにしてるけど、根本的には弱いやつだよ。だから――」
「朝比奈さんのこと、そんなふうに言わないでください!」
突っぱねるような紅美の口調に、大野が言葉を呑んで押し黙った。
「え……?」
「けど、瑠夏がデザインして作った指輪が完成したと同時にその女は指輪を持って消えた。内密にされてることだからあんまりこの話をネタにしないほうがいいよ。でも、アルチェスの社員も薄々気づいてるんじゃないかな? 当時、週刊誌とかでちょっと話題になったし」
そう言うと大野は、驚いて目を丸くしている紅美に口元を歪めて笑った。
(そんな過去があったなんて……)
婚約者から裏切られたことがトラウマとなって指輪のデザインができなくなってしまったのだろうか。女性に対して不誠実なのもそれが原因なのかもしれない。
様々な憶測が頭の中で飛び交い、興味本位で指輪のデザインをしない理由を暴こうとしたことが恥ずかしく思えてきた。
「どうしたの? 瑠夏の過去を知って驚いた?」
「え、えぇ……」
「いつも偉そうにしてるけど、根本的には弱いやつだよ。だから――」
「朝比奈さんのこと、そんなふうに言わないでください!」
突っぱねるような紅美の口調に、大野が言葉を呑んで押し黙った。