甘いヒミツは恋の罠
『お前、あのルビーのネックレスの価値を知っててあの子に近づいてるんじゃないだろうな?』


「他に何があるんだよ?」


『お前の過去のトラウマの憂さ晴らしに、なんの関係もない人を巻き込むのはやめろ。いくら女性をたぶらかしたって――』


「兄貴、これはただのゲームだ」


『ゲーム?』


「毎日退屈してたんだ。俺は皆本紅美を自分の物にする……それがどういうことか、兄貴にもわかるだろ?」


 電話の向こうで納得のいかないようなため息が聞こえてくる。これ以上の長話も無用だと、朝比奈が電話を切ろうとした時だった。ズキリとした鈍痛が頭の中で響き、朝比奈は顔をしかめた。


「悪い、ちょっと疲れたみたいだ。最近は仕事の話が立て込んでてろくに寝てない」


 そう言って手短に電話を切ると、朝比奈は心配そうに顔を見上げるサフィの頭をひとなでした――。
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