甘いヒミツは恋の罠
「あぁ、それ、前になんとなくコンビニで衝動買いしたものだ。結局食べなかったけどな」


「食事とか家事とかって、朝比奈さんがしてるんですか?」


「そんなわけないだろ? 忙しすぎてやる暇なんかない」


(そっか、きっとたくさんいる女の人の中の誰かがやってくれてるんだよね……)


 朝比奈にそうぶっきらぼうに言われると、心の中にもやっとしたものが広がる。


「なに? 誰にやってもらってるとか気になるわけ?」


「べ、別に……あの、とにかくお粥作りますから、よかったら食べてください」


 自分もたくさんいる女の人の中のひとりになってしまうのだろうか。


 そんなつもりはないが、きっと朝比奈にとっては、気にもならない存在なのだろう。そんなことを考えるとだんだんと虚しく思えてきた。


(なんでそんなこと考えてるんだろ……)


 お粥の中にスープを溶き入れてかき混ぜる。すると、じっと見つめる視線を感じて紅美がその方向を見ると、訝しげに目を細める白猫と目が合った。
< 168 / 371 >

この作品をシェア

pagetop