甘いヒミツは恋の罠
「別に……」


「お前、まさか彼女にひどいことしてないだろうな?」


「ひどいことって? 押し倒してむりやり奪おうとしたこととか?」


「な……」


 朝比奈の冗談を間に受けて朝比奈社長の顔が凍りつく。


「嘘だよ。けど、あの女は必ず手に入れてみせる」


「……それは神楽坂涼子の孫娘だからか?」


「……――」


 一瞬、朝比奈は逡巡した。そして、テーブルに飾ってある水晶でできたライオンのオブジェを手に取りながら朝比奈は淡々と言った。


「あぁ、あのルビーを見ただけでわかるなんて、兄貴も流石だな……」


「お前の目的は何なんだ?」


「わかってるだろ? ジュエリーデザイナー神楽坂涼子のデザインしたアクセサリーは飛び抜けて希少価値がある。それに市場に出回ってない幻のアクセサリーだって存在する。あの女の身につけているルビーのネックレスはそのうちでももっとも価値のあるデザインのものだ」


 その思惑に朝比奈社長は顔を曇らせた。
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