甘いヒミツは恋の罠
※ ※ ※

 午後一時――。


 会議室にはデザイン部の社員と数人の販売部の社員、そして朝比奈の姿があった。


「あの、皆本さんは……?」


「あんなに時間厳守って言ったのに、まったく何してるんでしょうね」


 紅美が座っているはずの空の椅子を、沢田は呆れたような目で見た。


「でも、皆本さんが時間に遅れるなんて……」


「北野さんは先ほど、皆本さんにミーティングの資料作りを頼んでましたよね? その本人がいないんじゃ話になりませんね」


 いらついている様子の沢田をなだめるように結衣が言った。


「あの、簡易的なものならさっき作ったので、間に合せのものですけど参考にしてください」


 結衣がそれぞれに資料を手渡す。朝比奈はそれを頬杖をつきながら受け取ると、じっと内容に見入った。


「さすが北野さん、それではこの資料を元にミーティングを進めていきましょう」


 沢田はその資料を見て満足そうに頷くと、結衣は少し照れたように笑った――。
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