甘いヒミツは恋の罠
「おそらく……紅美さんは、自分の祖母がどんな人だったのか知らない。不幸中の幸いというか、あのルビーのネックレスの価値も知らない。知ってしまったら怖くなって手放してしまうかもしれない、そうなる前に僕があの子を手に入れる」


「ふん……そうはさせるか」


 やはり大野は全て自分と同じ考えだった。そしてルビーのことも神楽坂涼子のことも知っていて紅美に近づこうとしていた。


「お前……俺よりきっと腹黒いぞ」


「そう? 僕がこうなってしまったのも、きっと境遇だろうね」


 どんな境遇だろうが朝比奈にとってはどうでもいいことだった。ただ、大野が紅美に黒い手を忍ばせようとしているのだけは許せなかった。


 けれど、自分も大野と同じ思惑という背徳感と矛盾が朝比奈を苛ませた。
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