短編集
帰り道、心が軽くなった気がした。
自分と同じ気持ちの子がいる……
切なさを分け合えた気分で、嬉しかった。
白いセーラー服の裾が弾んで揺れた。
来た時よりも軽い足取りで、団地を後にした。
◇◇
翌日の放課後。
授業を終えると学校を飛び出し、
また団地に来てしまった。
あの黒板に、返事が書いてあるかも知れないと思って。
ドキドキしながら、2号棟の外玄関の扉を開けた。
「あっ……」
誰もいない小さな小さな玄関ホールに、私の小さな声が響いた。
黒板の連絡欄、
昨日ピンクのチョークで私が書いたメッセージの下に、
白いチョークの子供っぽい文字が並んでいた。
『読まれると思わなかった。びっくり。
スゲー綺麗な字。お前、夢だろ?
夢に好きな奴、いたんだな』