冷たい上司の温め方

無視していると、さらに絡んでくる。

「あれー、おじちゃんは無視かい?」

「はいはい。俺が相手しますから」


間に割って入ってくれた笹川さんは、「ごめん。楠さん頼める?」と私に耳打ちする。
その方がよさそうだ。


「あと、お願いします」

「オッケ」


笹川さんに挨拶をした私は、端に座っている楠さんに駆け寄って無理やり手を引っ張った。


「帰りますよ」

「いいから」

「ダメです。自分の体調管理もできないんですか?」

「言うな、お前」


私の嫌味が効いたのか、楠さんは渋々立ち上がった。

盛り上がっている皆を残して、私達はそっと店を抜け出し、タクシーに乗り込んだ。


「悪いな」


楠さんが謝罪なんて!
明日、雨が降りそうだ。


「働きすぎですよ。毎日残業ばっかりして」
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