冷たい上司の温め方
マンションに帰ってそーっとリビングを覗くと、楠さんがソファで寝息を立てていた。
額にせっかく乗せたタオルが床に落ちてしまっている。
起きてしまわないようそっとメガネをはずした私は、タオルを再び氷水につけ、もう一度額に乗せた。
顔が真っ赤だ。
彼が隣の部屋から救急箱を持ってきたことを思い出して勝手に入ると、ローボードの上に無造作に置かれているのを見つけ、体温計を取り出した。
そして、十年前のものとかいう解熱剤も発見したけど、新しいものと交換した。
ワイシャツを着たままの彼は、ネクタイが少し緩めてあるものの、とても窮屈そうだ。
着替える気力もないのかもしれない。
彼に手を近づけると、ゆっくりネクタイを外して、シャツのボタンをふたつ外した。