冷たい上司の温め方
あの人に会いたい。
あの人の胸の中で、泣いてしまいたい。
あなたはあの時どうして、『好きにしろ』なんて言ったの?
そんなに私のこと、嫌い?
だけど、そんなことを問いかけられる勇気を持ち合わせているはずもなかった。
ボーッと電車に揺られて窓に映る自分の姿にハッとする。
こんなに落ち込んだ顔をしていたら、あの人は笑ってくれない。
私が落ち込んでいたりしたら……。
土曜の朝は、うまく寝つけなかったせいか、起きたらもう九時を過ぎていた。
ベッドを出て着替えを済ませ、長い髪を緩いお団子にまとめると、キッチンに行って冷蔵庫の中のミネラルウォーターに手を伸ばした。
「タマゴ……」
その時、視界に入ったタマゴを見て思い出してしまった。
楠さんがタマゴサンドが好きなことを。