冷たい上司の温め方

「竹中!」


林常務は知らなかったようだ。
大きな声をあげた。


「私は、なにも知りません」


明らかに竹中の目が泳いでいる。
威圧的だった雰囲気が消えた。


「竹中さんの件は、証拠写真もお出しできますが? 
最近のスマホは性能が良くて助かりました」


竹中の方も調べてあるんだ。
どこまでも抜かりない楠さんに脱帽だ。


「竹中。それじゃあ、退職後の話は……」

「あぁ、我が社を退職後に、東条電機の顧問になるという話ですか。
そんな話、最初からありませんよ。常務もはめられたんです」


楠さんが冷たく言い放つと、林常務はあんぐりと口を開けて呆然としている。


「ですからずっと申し上げているはずです。
否定し続けても恥の上塗りですよと」


真っ青な顔をした常務は、威厳のかけらもなかった。


「お前達……こんな告発をして、タダではすまないぞ」


竹中の声が震えている。
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