冷たい上司の温め方
「笹川」
「はい」
部長が三課のデスクにやってきて、「お前、頑張ったな」とつぶやく。
「ありがとうございます」
なにを?と思ったけれど、こんな時に平気で仕事の話ができる笹川さんって、肝が座っていると感心するばかりだ。
それからどれくらいたったのだろう。
欠勤チェックをしなければならないのに、ひとつもできていないことに気が付いた私は、そっと席を立った。
楠さんのことが気になりすぎて仕事にならない。
自然と足はエレベーターホールに向かっていた。
上の階から降りてくるエレベーターが止まるたび、ドキッとして胸が張り裂けそうだ。
それが数回繰り返されたあと、ついに……。
「楠さん!」
「麻田か」
心なしか疲れたような彼の顔を見て、心臓がますます激しく打ちだす。
どうだったの?