冷たい上司の温め方

「そこに載っている携帯に電話しろ。そうだな……二十一時以降に。
鍛え直してやる」


楠さんは商品を受け取ると、私に返事をする暇も与えず、さっさと帰っていく。


「いらっしゃいませ。お待たせしました」

「えっと……チキンバーガーと……」


すぐに次の接客に入った私は、結局きちんとお礼も言えなかった。


ファーストフードのバイトは、給料の割には体力がきつい。
ずっと立ちっぱなしだからか、足がパンパンで、社員の人も腰を悪くして辞めていくこともあるのだとか。


バイト帰りにコンビニで買った弁当を食べると、疲れていたのかウトウトしてしまって、ハッと目を覚ますと、もう二十三時近い。


ヤバッ。
電話しろって、言われてたのに。

慌ててスマホを取り出し名刺に書いてある番号をダイヤルすると、何度かコールした後、不機嫌そうな楠さんの声がする。

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