冷たい上司の温め方
「もう一度、二課の手伝い行ってきます」
どうやら二課にも気に入られている。
美帆乃のデスクをチラッと見ると、頼んでおいた仕事はすっかり片付いていた。
「今度はなにしに行ったんだ?」
美帆乃はいつもすっ飛んで行ってしまう。
「あぁ、今日、経理に妊娠を機に退職する人がいるらしいですから、必要な書類を届けに行ったんだと思いますよ」
笹川もなかなかの事情通。
さりげなく社内を回って、常に動向をチェックしている。
しばらくして帰ってきた美帆乃を見て、驚いた。
彼女が目に涙を浮かべていたからだ。
一体、どうしたというんだ。
「麻田、お前……」
思わず声をかけると、笹川も気が付いて目を丸くする。
「麻田さん、なにかあった?」