冷たい上司の温め方
酒が入るとすぐに泣く彼女だけれど、辛いことでは簡単に泣いたりしない。
その彼女が、泣いている……。
「はい。丁度お別れの挨拶をされていて……聞いていたら泣けてきてしまって……」
はっ?
一気に気が抜けた。
なにがあったのかと、心配したじゃないか。
「すみません。メイク直してきます」
「まったく」
呆れ声を出して見せたものの、笹川は俺を見てニヤリと笑った。
美帆乃がフロアを出ていくと、笹川が椅子ごと寄ってきて、小声でささやく。
「大変ですね。素直な彼女を持つと」
「なんだと?」
だけど、その通りだ。
いつの間にか彼女に振り回されている。