冷たい上司の温め方

「ううん」


意外にも吹っ切れた様子の聡子は、笑ってみせる。


「なにも知らないから、今回のことだって騙されたの。
美帆乃、友達になってくれてありがと。
美帆乃と友達になれなかったら、なにも考えず流されて生きていくところだった」


彼女の周りは、彼女と同じようにお金持ちが多い。

幼稚園から附属で上がってきた彼女たちは、「プラチナ」と呼ばれている。
トータルの学費は、庶民には払えないほど高いものだから。


そんな彼女は、他のお嬢様とは一味違った。


初めて出会ったのは大学の学食。

迷わずその日のランチを頼んだ私と、どうやって買っていいのかわからなくてオロオロしていた彼女。
そんな彼女に声をかけたのが始まりだった。

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