冷たい上司の温め方
元々ピカピカに掃除されているように見えた玄関だけど、モップをかけ始めるとそうでもないことに気が付いた。
それもそうだ。
外から土足で入るわけだから、どうしたって土やほこりが入ってくる。
いつの間にか、掃除に没頭していた。
ところどころに置かれた観葉植物の周りや、エレベーターに向かう動線上は汚れが目立つ。
モップで隅々まできれいに掃いて、塵取りで集めての繰り返し。
業務用掃除機もあるようだけれど、音がうるさいということで、就業中は原始的な掃除の仕方をするらしい。
「麻田さん、頑張ってるわね」
「はい」
「私達、どちらかっていうと日陰の存在だけど、いないと困る仕事だと私は誇りを持っているの」
そんな遠藤さんが輝いて見える。