それでもキミをあきらめない
「今日はなんか予定あんの?」
急に聞かれ、ぼうっとしていたわたしはつい本当のことを言ってしまう。
「え? いえ、別に予定という予定は……」
はっと気づいた時には遅く、星野彗は薄い唇をにっと左右に伸ばした。
「じゃあ俺と遊ぼうよ」
「え、遠慮します」
「えーなんでさ。いいじゃん。暇なんでしょ」
そう言ってわたしの隣に立つと、いきなり肩に手を回してきた。
「ちょっ」
「2階とか回った? 2年が出店してるカフェがさ、めちゃくちゃレベル高いスイーツ出すらしいよ。行ってみない?」
わたしの返事は聞かずに玄関に向かって歩き出す。
肩を抱かれ強引に歩かされながら見上げると、精巧な彫刻みたいな顔に満面の笑みが浮かんでいた。
わたしが嫌がってるなんて、微塵も思ってない顔だ。