それでもキミをあきらめない
「ねえ星野くん、わたし」
「ほんと奈央ちゃんスゲーかわいいよね! なんで俺今まで気づかなかったんだろ」
靴箱の前を通り、学園祭のあいだだけ土足で入ることが許されている校舎へとそのまま入っていきながら、星野彗はくるくると表情を動かす。
「顔だけカワイイ子は普通にいるけどさ、奈央ちゃんはなんか違うんだよな。や、もちろん見た目もかわいいよ! けどなんか一味違うっつーか、こう、取れたての魚みたいな? 目が澄んでるみたいな?」
歩きながらひとりでずっとしゃべっているけれど、まるで耳慣れない外国語を聞いているみたいで、わたしにはさっぱり理解ができない。
おまけにさっきから「手を離して」と頼んでいるのに、聞こえてないのか聞く気がないのか、星野彗はずっとわたしの肩に触れたままだ。
「あの、星野くん」
階段を上ろうとした星野彗に、思い切って抵抗をしようとしたとき、
「あ、レオ」
彼の言葉に心臓がとびはねた。
上の階から降りてきた高槻くんが、星野彗に気がついて踊り場で足を止める。
わたしはとっさに肩に置かれた手を振り払った。