それでもキミをあきらめない
せっかく肩に置かれていた手を振り払ったのに、星野彗はこともあろうか、わたしの腰に腕を回して高槻くんに呼びかけた。
声を上げることも忘れ、ただ硬直する。
立ち止まった広い背中が、こちらを振り返る。
「セイ、俺今忙し――」
不機嫌そうな声を出していた高槻くんが、ぴたりと言葉を切った。
「――」
はっきりとした二重の目が、わたしをまっすぐ見据える。
なんの感情も読み取れない、表情の変化のなさがかえって怖い。
無表情なままの彼から目を逸らし、わたしはうつむいた。
大丈夫。わたしだと、気が付くはずはない。
祈るような気持ちで足元を見つめていると、星野彗の能天気な声が鼓膜を揺らす。
「盲点っつーかなんつーか、まさかこんな近くにこんな子がいると思ってなくてさー。なんかもう運命みたいな? 彼女さ、実はとなりの――」