それでもキミをあきらめない
とっさに星野彗の口元に手を伸ばした。
声を出させないように、両手を重ねて彼の口に押し付ける。
――となりのクラスの奈央ちゃん。
そんなふうに言われたら、気づかれてしまうかもしれないじゃない!
余計なことを言わないで、と睨みつけても、口をふさがれた星野彗は不思議そうに目をぱちくりさせてわたしを見下ろすだけだ。
そのとき、星野彗の口を押えていた腕を、後ろから掴まれた。
何が起きたのか分からないまま、強い力に引っ張られ、反対を向かされる。
そのまま引きずられるようにして廊下を走った。
足がもつれそうになりながら前を見れば、黒い髪と広い背中が目に入る。
背後で金髪男の叫び声が聞こえたけれど、何を言っているのかわからなかった。