それでもキミをあきらめない



恐る恐る顔を上げると、高槻くんは表情を変えないままわたしを見下ろしている。

木漏れ日が揺れて、彼の表情の上にまだらな模様を描き、わたしは縮めていた肩を緩めた。


「気づいて、たんだ……?」


無言のままの彼に、取り繕うように笑ってみせる。


「す、すごいね。星野くんなんて、全然気がつかなくて」


つい昨日までわたしのことを地味ブスと呼んでいたのに、とは言えず、黙りこんだ。


学園祭の賑わいが、風に乗って運ばれてくる。

屋台の匂いや、生徒たちの楽しげな声が、わたしと彼のあいだの沈黙を埋めてくれる。


「……わかるよ」


ぽつり、と言って、高槻くんはなんとなく不機嫌そうに傍らの大きな木の幹へ視線を移した。

わたしは急に恥ずかしくなった。

鏡に映っていた自分の今の姿を思い出して、短いスカートのすそをぎゅっと握りしめる。


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