それでもキミをあきらめない



どことなく張り詰めた光景に、息を詰める。


「おい、いきなり何なんだってんだよ! あの子、どこやった!?」


興奮気味にまくしたてる星野彗に、高槻くんは冷静だ。


「逃がした」

「逃がしたっておま、キャッチ&リリースじゃねーんだよ!」

「もう帰ったと思うし。諦めれば」

「さらっと言ってんじゃねぇし! 俺の運命の子だったのに!! いてっ」


高槻くんがなんの前触れもなく星野彗の頭をはたいて、ぎょっとする。


「何すんだよいきなり」

「わりぃ、なんか急にムカついて」


息をひそめて彼らのやり取りを覗いているあいだに、奇妙な考えが頭をかすめていった。

高槻くん、もしかして……わたしを星野彗から隠した……?


「ほら、セイ。向こうで、なんか適当な女子がお前を待ってる」

「なんだよその言い方!」


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