それでもキミをあきらめない
○。
高槻くんは、登校時や学校にいるあいだは徹底してわたしに話しかけてこない。
地味ブスと一緒にいるところを他の生徒に見られたくないなら、無理して罰ゲームを継続する必要もないだろうに、
彼はいつも下校時間になると校門のところでわたしを待っていた。
最初は何か別の目的でそこに立っているのだと思ったのに、わたしが帰ろうとすると声をかけてきて、なぜか家まで送ってくれる。
高槻くんの考えていることが、よくわからない。
いつの間にかセミの声がぱたりと止み、夏が急速に遠ざかっていた。
残暑が長引いたせいで、今年の秋はほんの少ししか顔を見せないつもりらしい。
並木のイチョウも少しずつ色を薄れさせ、乾いた風にかさかさと身体を震わせている。
「キンモクセイ」
隣りから落ちた低い声に「え?」と顔を上げると、高槻くんはすっと伸びた鼻梁を前に突き出した。