それでもキミをあきらめない
高槻くんのほうはもともと無口だから、ふたりの会話は自然と途切れがちになった。
それでも、だんだん沈黙が苦にならなくなってる。
自分の変化を不思議に思っていると、風の音しか聞こえない通りに、高槻くんの静かな声がぽんと浮かんだ。
「小塚の兄貴って、今もう、大学生?」
「え、うん」
突然の問いかけに返事をしてから、あれっと思った。
わたし、高槻くんに翔馬のことを話したことがあったっけ?
それから思い至る。
そういえば高槻くんはいつか、朝、わたしの家まで迎えに来たことがあったのだ。
そのときに翔馬と顔を合わせたのだっけ。
「すごい横暴で、妹としてはもっと優しい兄が良かった」
切実な気持ちで言うと、高槻くんは微かに目元を緩めた。