それでもキミをあきらめない
「信じられない……か。確かにな」
遠くを見るようにつぶやいて、朝子は続ける。
「で、告白されたって、付き合うのか?」
「うん。また明日って。迎えにくるって」
ドアが開いて英語の先生が姿を現すと、朝子はそれきり前を向いてしまった。
教室のざわめきが薄れ、代わりに先生の声が響きはじめても、わたしはまだ宙をただよっている気分で。
先生の口からこぼれる異国の言葉は、わたしの耳をすり抜けて、はるか遠くに聞こえていた。
高槻くんのクラスは6組で、2組のわたしの教室からは離れている。
でもとなりの1組にトップ5のうちの、もっとも目立つ男子がいるせいか、ほかの4人が廊下を通る姿はよく見かけていた。
彼らは単体でもとても目を引く。
ひとりひとりがアイドル顔負けの顔立ちをしているのだから、仕方ない。
それでも高槻くん以外の男子は、どうあってもわたしの目には魅力的に映らなかった。