それでもキミをあきらめない
学年ナンバーワンの異名をほこる、人気グループの頂点、星野彗(ほしの せい)の笑い声だ。
彼が呼んだ「レオ」という響きに、胸が高鳴る。
高槻くんが、すぐそこにいる。
校舎裏でぶれない視線を送ってきた彼の顔がよみがえって、幸福な気持ちでローファーに手をかけたとき、聞こえたのだ。
「え、お前もう罰ゲーム実行したのかよ」
「ぎゃはは、すげーよレオ。尊敬する。アレはない」
普段は気にならないのに、彼らのきんきん響く笑い声が、なぜか不快だった。
高槻くんの姿は見たいけれど、周りの連中は苦手だ。
「やべーレオ、最高だわ。惚れ直した」
「レオくんの勇気をたたえてカラオケ行こうぜ」
なんだか嫌な予感までしてくる。
早くここから立ち去れと、頭の中で声がするのに、動けなかった。