それでもキミをあきらめない
○。

 
まわる。世界がまわる。
 

わたしの存在を見ないふりして、わたしの意思を素通りして、地面はつねに、前に前にと進んでいく。
 

できることなら止めてほしい。
 
可能ならば戻してほしい。
 
靴箱の向こうの会話を耳にしてしまった、あの救いようのない時間がはじまる前に。
 
いや、それよりも、もっとずっと昔に戻れたら。
 

時間を取り戻せたら。

 
こんなふうに、自分で自分を見限ることには、ならなかったのかもしれない。
 

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