それでもキミをあきらめない
カバンを投げ出してベッドに飛び込むと、置いてあったクマのぬいぐるみがびっくりしたように飛び上がる。
邪魔なメガネを放り出し、枕に顔をしずめた。
塩っからい涙と一緒に、恥ずかしさや悔しさがあふれだして、声が漏れる。
告白されて舞い上がっていた分だけ、痛みが喉をしめつける。
校舎裏で、まっすぐ視線をよこした彼は、どんな顔をしていたっけ。
うらやましいほどくっきりした二重の目は、真剣そのものに見えたのに、本当は笑いを堪えていたのかもしれない。
立ち去るわたしの背中を見て、馬鹿にしていたのかもしれない。
『ずっと好きだった。付き合ってください』
わたぐものように、ふわふわとあたたかかった言葉は、中身なんて何もない、からっぽの水蒸気にすぎなかった。