それでもキミをあきらめない




声をあげるわたしに冷ややかな一瞥をくれ、朝子はパンフレットをよこす。


「ひとりで行くつもりだから。ほかに興味あるものもないし、わたしはこれを見たら帰る」

「え、帰っちゃうの」

「ああ。なにかわたしに用でもあるか?」

「え、いや、用ってほどのことは……」
 

せっかくの学園祭なのに、ひとりで回るなんて寂しいじゃん、と言ったところで、朝子には寂しいという感覚がわからないのだ。


「それじゃあ、また月曜に」

「あ、待っ……」
 

呼び止める間もなく、彼女は階段をのぼって行く。
 
ピンと伸びた背中を見送ったあとで、わたしは右手に握っていたチラシの束に気が付いた。


「ああ! チラシ配り!」
 

わたしたちが出店するお化け屋敷は3階の奥まった場所にある。
 
なかなか人目につかない、ということで、当日時間のある女子はチラシ配りを任されたのだ。


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