それでもキミをあきらめない



「ほら、着替えた着替えた。俺たち廊下で待ってるから早くしろよ」
 

勝手なことを言い、道具をしまったキリカさんを連れてドアをくぐっていく。


「大丈夫よ、短いほうが絶対に似合うから」
 

彼女も笑みを浮かべながら、荷物を持って廊下に出て行く。


「さっさとしろよー」
 

念を押して翔馬がドアを閉じると、教室のなかが急に静まりかえった。
 
このスカートをはかないと、きっと外に出してもらえない。
 

翔馬が食べかけたパスタが目に入り、わたしはあわてて自分のお財布からお金を取り出して、鈍く光る硬貨をトレーの上にならべた。
 
思い立って兄が残したミートソースを、ひとくち、口に運ぶ。


「……まずぅ」
 

ふにゃふにゃに伸びたパスタと、塩気がない上に冷めてしまったソース。


「こんなの、絶対売れないんじゃ……」
 


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