それでもキミをあきらめない


○。

 
頑張れよ、という言葉を残して帰っていった兄たちと別れて、わたしはパスタのトレーを抱えなおした。
 
午後になって、学園祭はますます盛り上がっている。
 
お昼時とはいえ、この冷め切ったパスタを売るのは至難の業だ。
 

そう思っていたのに、人通りの多い場所に出たとたん、人が群がってきた。


「ねーきみ、何年生?」

「パスタ売ってんの? 俺、買うよ」

「あ、俺も買うわ」
 

見たことのない上級生の男の人から、なんとなく見覚えのある同学年の男子まで、どういうわけか競うようにパスタを買ってくれる。


「何? パスタハウスって、君、1年6組の子?」

「え、いえ、これはお手伝いで……。わたしはお化け屋敷のほうで」

「なに? お化け屋敷?」

「は、はい」
 

声がしぼんでしまう。
 

翔馬という男兄弟がいるから、男子に免疫がないわけじゃないけれど、学校では朝子以外とほとんどしゃべらなかったせいか、なんだか怖い。


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