それでもキミをあきらめない
「やべー俺、刺された。いま心臓刺されたわ」
「俺も、心の鼻血がとまんねぇ。ここは一旦退避しよう」
幸せそうな顔で空を見上げていた上級生が、言葉を続ける。
「これ、きみが作ったの? 最高に斬新な味だったよ」
「え……」
「じゃあ、あとでお化け屋敷行くから」
「は、はあ」
彼らが去っていくと、すぐさま別の男子生徒が目の前に並んで、パスタはあっけなく完売してしまった。
空のトレーと代金の入った袋を握りしめて、わたしはぽかんと立ち尽くす。
「ね、仕事終わったんなら一緒に回んない?」
「ていうか、君、名前は……」
両側から話しかけてくるふたりは、同じクラスで目立つグループにいる男子生徒だ。
同じ教室で何度も顔を合わせているのに気づかないなんて、わたしの存在感のなさは流石だと思う。
「え、えっと、同じクラスの小塚です」
ちいさな声で答えると、彼らはぴたりと表情を止めた。
それからいきなり笑い出す。