それでもキミをあきらめない

 

この格好で高槻くんに会って、わたしはいったいどうしたいんだろう。
 
かわいいって言ってもらいたいのかな。
 
でも彼は、女の子にそういうことを言うタイプじゃないし、万が一言ってもらえたとしても、わたしだと分からないんだから、他の女の子を褒めたことと同じになる。

考えてしまうと、気が重くなって、わたしは6組の前の廊下で立ち止まった。
 

やっぱり、高槻くんには会わないで帰ろう。
 

そう決めて6組のパスタハウスをそっとうかがう。
 
彼がいてもいなくても、そのへんの人にトレーと売上金を渡してしまえばいい。小さい声で高槻くんの代わりに売り子をしたことを伝えればいい。
 
くっつけた机にチェックのかわいいテーブルクロスをかけ、まるでレストランのように飾り付けられた教室には、お客の姿よりも店員の数のほうが多い。
 
おしゃべりをしている彼らのなかに高槻くんがいないことを確認して、わたしはすぐそばに立っていた女の子に声をかけた。
 

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