それでもキミをあきらめない
空っぽのトレーを差し出すとフリルのエプロンを締めた彼女は、驚いたようにわたしを見る。
「あの、これ、高槻くんの代わりに売り上げた十個分のお金です」
「え? はあ」
彼女は困惑しながらもお金を確認し、「確かに十個分」と呟く。
「それじゃあ」
「え、ちょっと」
高槻くんが戻ってくる前にここから逃げなきゃ。
廊下に飛び出して階段まで急ぐ。
「待って! 名前……」
女の子の叫びを背中で聞きながら階段を下りようとしたとき、後ろから腕を掴まれた。
「ちょっと」
その声は、さっきの彼女の声よりもずっと低かった。
低音なのにきんと耳に響くような独特の声音に聞き覚えがある。
振り返ると、金色の髪が目の中にはじける。