それでもキミをあきらめない
「俺、自分から声かけて断られたことないんだけど!」
「はあ……?」
そんなことを言われても。
「あの、わたし行かなきゃいけないので、どいてください」
「違う、そうじゃない」
吐き捨てるように言って急に流し目をつくると、彼はそうっとわたしの頬をなでた。
突然のことに背筋が凍りつく。
「ほら、その白い頬を赤らめて、潤んだ目で俺を見上げてごらん」
この人、頭がおかしいんだ。
冷静な気持ちで見ると、壁に伸びた星野彗の腕の下にぽっかりと空間がある。
身をかがめてそれをくぐり抜け、わたしは逃げ出した。
「あ、おい」
すぐ後ろを追いかけてくる彼に恐怖しながら階段を駆け下りた。
逃げ足には自信があったのに、星野彗は細いくせに足が速くて、生徒玄関を飛び出したところで腕を捕まえられてしまった。
息を切らしながら、彼は「わかった」とうなずく。