幸せにする刺客、幸せになる資格
え?初対面?
普通は親戚の集まり・・・は勘当されているのでそれはないにしろ、せめて結婚式くらいでは会ってないのかな。

私が不思議そうな顔をしたと分かったのか、紗英さんは、

『兄は、私達の結婚式にも参加させてもらえなかったのよ。うちの親の頭が固すぎて。写真だけは送ったけど、それもこっそり』

そんな・・・実の妹の結婚式にも参加させてもらえなかったの?

『紗英、余計なことは言わなくていいよ。山形さんには関係ないことだろ』

ノリさんは相変わらず冷たい。

空気を読んでか、誠さんが話を変えてきた。

『10月初旬くらいから収穫でしょ?今回はそんな重要な作業があることを知らなかったから合わせられなかったけど、収穫時期は、週末来られるように調整するよ』
『でも、お仕事がおありじゃないんですか?』
『だから、週末。あと、"摘果"という作業の重要性を知らなくて、健吾に怒られて』
『健吾って・・・あ、誠さんは龍成社ですもんね』

"お兄ちゃんのナルガク時代の友達"と紗英さんが耳打ちしてくれた。

『健吾が営業一部にいて、俺は隣の二部にいるんだけど、週に1回は飲みに行ってるよ。そこで毎回言われるんだ。りんごを作るのに人手が必要な作業がある時は、家族なら率先して手伝わないと、いいりんごができないから、俺達がここに行けって。行けなければ、俺が彼女連れて行くって』
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