幸せにする刺客、幸せになる資格
『私を、この家に下宿させていただけませんでしょうか』

ノリは琴乃ちゃんのお願いに、顔色ひとつ変えなかった。

「何だ、そんなこと?うちは、琴乃ちゃんのお父さんの了解さえ取れれば、全く問題ないよ。学校もここからの方が近いし、悪くない話だと思うよ」
『昨日、父とふたりで話し合ったんです。これから、どうするのが私達にとって一番幸せか。父は、本気で愛する女性のもとに行くこと、私は本気で大好きな大和の傍にいること。そういう結論を出したんです。身勝手なのは分かっています。迷惑なのも分かっています。ノリさんからそんなお返事をいただけて、私、すごく嬉しいです』

"ありがとうございます"と、琴乃ちゃんは頭を下げた。

『まだ成人もしていないのに娘を手放すのは、この間亜香里さんに言われた親の責任というものを果たしていないのかも知れません。でも、娘の幸せを考えたら、ひとつ屋根の下に暮らすのではなく、離れて暮らすのが一番いいと私は思ったのです。しかし、1人暮らしはさせられないので、安西さん家のご厄介になれればと思いまして、私からもお願いします』

娘の後を追うように、千村さんも頭を下げた。
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