幸せにする刺客、幸せになる資格
『お前、ヤキモチかよ』
『嫉妬だよ、嫉妬。もう、コトはユウの面倒を見なくていいから』

そんな大和くんの言葉をよそに、琴乃ちゃんは"かわいい"と、ユウを膝に抱えたままだ。

『残念ながら、琴乃ちゃんとユウは相思相愛みたいだな、大和』
『勘弁してくれよぉ』

"アハハハ"と、琴乃ちゃんが増えただけでも、うちの賑やかさが増した。

10月。
今月末には私の誕生日を迎える。

3週間ほど続いた収穫作業が天候に恵まれて無事に終わり、ノリから"誕生日プレゼント、何が欲しい?"と聞かれたけど"いらない"と答えた。

ノリと子供達の健康があれば、私は本当にそれ以外に望むものはなかった。

でも、10月30日の私の誕生日当日の夜。

いつものようにノリに組み敷かれた私は、ふとプレゼントを思いついた。
それをノリに告げると"喜んで"と、私の望む通りにしてくれた。

『そう言えばさ』
「ん?」
『大和たちがあの離れの部屋をあまり使わないのは何故だと君が大和に聞いたことがあっただろ?』

大和くんたちは私の質問に閉口してしまった時だよね。

『あの前に、僕も疑問に思って大和に先に聞いていたんだよ』
「そうなの?」
『その時のアイツの答えに、笑ってしまったんだけどね』
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