幸せにする刺客、幸せになる資格
元旦、亜香里の実家に挨拶に行ったその足で、僕達は東京へ向かった。
8人乗りのミニバン。

もう1人生まれると、定員オーバーだ。

そうじゃなくても車の中はチャイルドシートだらけで窮屈。
それでもカズはチャイルドシートがなくなり、ヒヨも簡易的なものだから、かなり楽にはなった。

僕の実家は静かだ。

でも孫たちの出現に、両親も嬉しそうだ。

普段は紗英のところの蓮しか来ないだろうし。

広い和室で暴れていると、障子や襖を破きそうで怖いけど、遊び回ること自体は止めはしない。
だって、それが子供だから。

破いたら、怒ることにしよう。

『この賑やかさは、お前が作った家族なんだよな』

父さんが僕に静かに言う。

「そうだよ。大和と2人だった家族が、これだけになったんだ」
『今日はありがとうな、ノリ。それと、今まで、済まなかった』

その声が漏れ聞こえたのか、亜香里は僕を見て微笑んだ。

色んな親子の形はあることをここ数年で感じた。

僕の場合はちょっと回り道になってしまったけど、35歳という年齢になってようやく親が親に思えるようになった。
< 151 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop