幸せにする刺客、幸せになる資格
そうだったのか。
もっと早く思いを伝えていれば良かった。
伝えていれば、亜香里が僕で嫌な思いをする時間が少しでも減ったのに。

僕は不謹慎だ。
なぜなら、涙目で訴える亜香里が、猛烈に可愛く思えてしまった。

「そんな、我慢できなくなること言うなよ」
『何で?我慢なんてしなくていいよ』

涙目のまま、ポカンした顔をする亜香里。

「我慢しないと、明日君は起き上がれなくなるぞ」
『私はいいの。ノリに我慢はして欲しくないもん』
「起き上がれるとしても、寝かせられないかも知れない」
『ノリが満足していない時は、私も足りないはずだからいっぱい愛して?でも大和くんが起きる前には止めようね』

それからは、寝たり起きたりを繰り返しながら、空が白んでくるまで抱き合った。

翌日も、大和に合わせて午前中スノーボードで遊び、帰る途中で温泉に浸かり、帰宅をした。

『あ~楽しかったぁ』

大和が満足そうだ。

『やっぱりお父さんと2人より、亜香里ちゃんがいた方が楽しいよ、僕』

そう言うと、ソファーにダイブした大和くん。

『ねぇ、亜香里ちゃんはずっとここにいてくれないの?』
『え?』

僕達は顔を見合わせた。
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